久我山会からのお知らせ

【コロナ禍のいま】 母校・久我山中学高等学校では……

母校・國清校長と久我山会・上脇会長とのオンライン対談(2020年8月13日実施)

<同窓会長>
 今年の2月ごろから世界的に大流行しはじめた新型コロナウイルス感染症。学校でも様々な影響が出てきているかと思います。そこで今回オンラインZoom meetingでの対談でその実態をお教え頂きたいと思います。
 國清校長、本日はお時間を頂きありがとうございます。早速ですが久我山コロナ事情として、学校の様子をお伺いします。まず、はじめに学校の授業の様子はいかがでしょうか?

<國清校長>
 これまで久我山は対面授業を中心にやっていて、ICT環境整備を進めようとした時期もありましたが、他校でのICT活用が実際に有効にあるいは効率的に使われているかという疑問がありましたので、進め方を検討しているところで今回の騒ぎとなりました。
 そこで一番困ったのはオンライン授業の要望にいかに応えていくかという点です。
 2月末から休校が始まり、3月当初は特別課題を指示、3月14日を登校日に設定して修了式を実施、それ以降は春休み課題による対応で学習支援を行いました。
 4月は中学ではクラッシー(ベネッセ)、高校はスタディーサプリ(リクルート)を使った自学自習のスタイルをとっていましたが、他の私学でオンライン授業をやっているところもあり、4月下旬ごろから父母よりオンライン授業はやらないのかという問い合わせが殺到するようになりました。通常の対面授業と同じような授業をオンラインでやっている学校の情報や様子を見るにつけ、同じようになぜできないのか? あるいはやって欲しいという要望が出てきました。
 新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない状況下で、急遽5月からオンライン授業を開始しました。先生方も慣れていないので限定した授業となっていました。例えば高校3年で一日多い時で3時間ぐらいでした。30分の配信を3時限(3回)でした。父母が納得できる質と量に届かない点もあり、多くのお叱りを受けました。更にはこの間、学費を減免しないのかというという問い合わせもありました。
 その後6月から非常事態宣言も解除され分散登校を始めました。
分散登校とはいえ、こういう状況下で対面授業再開については学内でも様々なご意見がありました。しかしながら、授業の遅れや様々な意味での在宅による生徒、父母のストレスの問題から、大半の家庭では学校再開は好意的に受け取って頂きました。
 一方その後も感染者の数が増えると、父母からはまた学校再開が果たして良いものなのかという問い合わせや、先生方からも様々な意見などが出てきてその方向付けのコンセンサスを得るのはなかなか難しく、先生方にとっても結構なストレスになっています。
こうした中で、現在は下校時間を考慮しながら短縮授業にはなっていますが、通常の時間割に沿って対面授業を実施し今日に至っています。
 世の中も経済活動などが再開されてきている中で、学校では部活動を再開しないのかという意見も出てきています。分散登校から一斉登校を再開してからは、強化5クラブ(野球、サッカー、ラグビー、バスケ、陸上)をそれぞれの競技団体などが規定しているコロナ対策のロードマップなどを参考にして、各部の活動の方針を提出していただいた上で徐々にですが活動を再開しました。
 授業については、一コマの授業が通常は50分の授業を40分として行っています。登校時もこれまでより早く6:45開門、40分授業なので6時限目の終了は14:10で、終業時間もこれまでより早く下校できるようになっています。 登下校時、少しでも公共交通機関利用時の混雑を避ける対策としています。
 クラブ活動については、強化5クラブ以外も、今週の土曜日(8月15日)に1学期の授業が終了したその翌日(8月16日)より、各部のきちんとしたコロナ感染防止策を父母にも示し、承諾を得た上で、週2回、1回あたり1時間程度のウオームアップから再開を考えています。

<同窓会長>
 ところで、生徒たちの受け止め方はどの様になっているのでしょうか?

<國清校長>
 実は新型コロナウイルス感染拡大のことがあって、登校を控えている生徒や登校ができなくなっている生徒もいます。また、中には学校に来るのが面倒臭いという生徒も多分いるとも思いますが(笑)…、今、ほとんどの生徒はこれまでのように普通に通っているという感じです。一時は登校そのものができなかったことから、友達との会話もできなかったのですが、6月から登校再開して2ヶ月半程経ち、ほぼ通常の学校生活がおくれています。やっと、通常の学校生活が戻りつつあるなという感じです。
 逆に、我々も生徒も感染拡大防止に対する気持ちが、少し緩み始めている面もあり要注意です。
 例えば、6月中は登校中にマスクを外す生徒はいなかったのですが、今は注意しないとマスコを外す生徒が出てきています。夏本番に入り、暑さに対する対策から厚労省では間隔が空いていればマスクをしなくても良いと言っているのですが、ご存じのように本校は生徒数が多いので(久我山は都内で最も生徒数の多い学校の一つです)登校時間は密になります。当然マスクをしなくてはいけない状況です。
登校時間についても登校再開当初は早く登校する生徒が多くみられ、密な状態が少し緩和されていましたが、慣れてくると以前のようにギリギリの時間に登校する生徒が多くなり、密な状況が生まれています。近隣住民の方の出勤時間との兼ね合いもあり、少しでも早めの通学を期待したいところではあります。

<同窓会長>
 先生方の様子はいかがでしょうか?

<國清校長>
 オンライン授業を始めた頃はやはり慣れないことですから、苦労されたと思います。やはりICTの扱いには、得手不得手がありますから大変だと思います。でもここにきて、「こういうことでも無ければ、自らiPadを使った授業を行おうとは考えていなかった」と言う先生も多く、良い機会になったなとは思っています。今は希望する先生方には、生徒用に用意してあったiPadを貸与しています。また、Zoomを使った授業の仕方も学べるようになってきているので、明らかに先生方のスキルも平均的に向上しています。
 今現在は通常の授業が行われていますので、学校生活も少し落ち着いています。ですから、それぞれの先生方の負担は従来の学校生活に伴う、様々な問題に変わってきていると思われます。内容が変わっても、先生方のご苦労は無くなることはないようです。また、オンライン授業に関しては、すでに経験された先生方も多くおり、その時に備えて準備も進めていますので、もしオンライン授業でということになっても、十分に対応して頂けると感じています。
 一方こういう状況でなければ経験出来なかったこともありました。
 多くの先生方、特に部活動に関わっている先生方は、2月の末から5月一杯まで全く部活動がない時期があって、長い教員生活でクラブ活動に多くの時間と労力を費やしてこられた先生は、この時期こんなに何もない時間は経験したことが無かったと思います。まさに、こんなに休んだ事は無い! という感じですね。そこでリフレッシュされた先生方もおり、また部活に多くの時間を費やされてきた先生方もここで一歩引いて、家庭や自分の生き方を見直す機会にもなったのかなという感じです。
 授業が早く終わることもあり、先生方の帰宅時間も少し早くなってきているかなと思います。 まさに働き方改革を考える良い機会でもあると思います。 

<同窓会長>
 学校行事については如何でしょう?

<國清校長>
 学校では、コロナウイルス感染防止対策に最大限の注意を払って対応していますが、今後は学校内でも感染者が出てくる可能性もあるかと思います。
 何時になるかは分かりませんが、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じような扱いになってくれれば大騒ぎする事はないだろうと思いますが…。
 また、そこに至るまでの行事については、随分と見直さなくてはと考えています。
 例えば、久我山祭が通常通りには実施出来ないであろうとか。生徒たちは久我山祭をどのような形式で実施するかを考えていますが、従来とは同じには出来ないだろうとは思っているようです。
 2学期に予定されていた中学体育祭については現状を鑑み、すでに中止としました。  2学期以降の行事全般を見直しているところです。緊急事態宣言が再度発令されて、様々な自粛を求められる事態となっても良いように、授業時数の確保の観点から、「対面授業ができる時に、なるべく対面授業をしておく」ことを軸に検討に当たっています。 

<同窓会長>
 その他何か卒業生にお伝えしたい学校の様子はございますか?

<國清校長>
 オンライン授業と対面授業をやってみて、あらためて学校存在意義が分かったように思います。オンラインで全部済ませるのなら通信制の学校でいいわけで、やはり先生と生徒が同じ空気を吸いながら、存在を感じながら授業を行うことが大切です。生徒の反応に応じて展開できる点において、多くの先生方にとって対面授業はオンライン授業に勝ることが再確認されました。
 緊急時においてのオンライン授業による対応は良いようで、父母もそれを望むのですが、オンライン授業は通常の対面授業以上に受け手側の取り組みかたが、その授業が生きてくるかどうかに大きく影響してくると思っています。
 画面からでは、一人一人の生徒の参加意識などは分かり難く、一人一人の表情を見ながら注意していくことができるかというと難しいですね。教室の状況とは違うものがありますね。すべての生徒がオンライン授業についていけるかどうかというと、学習レベルと意欲という部分においてなかなか難しいものがありますね。結構厳しい側面があります。
 そこで、対面授業ができる時には対面での授業をしていきたいと考えている訳です。
 そのような状況ですから、例え感染者が出ても、オンライン授業に切り替える範囲は狭い範囲で抑えるようにして対面授業をつづけ、加えて部活動もなるべく継続できるようにしたいと考えています。

 ところで話は変わるのですが、最近校内でも紙の資料をなくすような動きについて、強く推している先生方もいらっしゃいまして、職員会議、成績会議などでも、以前のように印刷物を配布せず、職員室のそれぞれの先生方の机上PCにデータを送り、Teamsを使ってオンラインで情報共有しながら会議を行っています。
 そして様々な紙ベースのもの、例えば校報などもホームページ上に載せてあるものを、閲覧していただくような形へ移行していく流れは強くなるかなと思います。
 また、父母の方の個人情報について気になられる方も多く、そうした点についても十分に配慮した上での対応が必要とされる時代となっています。
 一時期、コロナの対応についてホームページ上に様々な情報を載せていましたが、生徒の動向がわかってしまう(誰がいつ登校するかがわかってしまうなど)ということもあり、詳細な情報は各ご家庭に直接届く形での対応へと変えてきました。ということもあり、学校のホームページ上に学校のコロナ対応についての情報や学校の状況が載らなくなったと思います。このような事情についても、是非卒業生の皆さんにもお伝え願いご理解を頂ければと思います。

 久我山では、これを機会にこれまで長い間先延ばしにしてきていた、学校内のWiFi環境を整える工事を今年度一杯に完了させるべく、準備を進めています。
 さらに、3蜜を回避する必要性と、熱中症対策として体育館にもエアコンの設置をするなど、学校内の環境整備にも取り組んでいます。

<同窓会長>
 本日は、久我山のコロナ事情についていろいろとお話しをいただきどうもありがとうございました。

(報告:会長・上脇辰三)
 
▲母校 2020年8月
 
▲各校舎入口前に設置された手洗い設備用テント
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