学校長挨拶Greeting
平成24年新年挨拶久我山の心を日本再建の礎に
平成二十四年壬辰、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、二つ大きな出来事がありました。まずは、三月の東日本大地震による津波や原発事故。耐震化を終えた校舎に多少の影響がありましたが、人的被害は皆無で安堵いたしました。されど、今日の人々の想像をはるかに凌駕する大自然の猛威の前に人は何の為す術もなく打ち平伏され、「いかに生きるべきか」を問われる出来事でありました。世界の報道は、沈黙の惨状に立つ日本人の相互扶助の好意、整然とした秩序に賞賛の言葉を与えました。
そして、多くの国民は、日本の伝統精神の「助け合うDNA」が甦り、東北だけでなく全国に『がんばろう 日本』が合言葉となり復興に邁進する原動力になりました。不安定な自然環境の中で、共存共生の「自然と人のあり方」が再確認され、『がんばろう 日本』の波紋は、日本国旗と共に全世界の輪となって広がっていきました。この日本が発信した、困難な惨状にも耐え忍ぶ心や助け分け合うDNAこそ、岩崎清一先生の国難の中で本校を創設した建学の精神であり、学園生活三か年、六か年の学習の底流にも養われるべきものであろうと思います。
もう一つの出来事は、名誉校長 佐々木周二先生が四月二十六日早朝、白寿まであと二か月を残されて九十八歳と十か月で突然ご逝去されたことです。言葉に尽くせない大きなお心と湧き出でる教育愛で本校を支えて下さった先生のご遺徳を偲び、本校では九月創立記念式典終了後、体育館に祭壇とご遺影を奉設して本校神職関係同窓会奉仕により追弔祭を斎行致しました。
先生のご生涯は、創立者岩崎先生の病床での『学園を頼みます』との一言に応えて、戦後経営の塗炭の時代を國學院大學と合併することで乗り越え、名実共に、東京私学を代表する隆昌の礎を築き、固められたのです。
先生は、青年教育の本質は、「明るさ、爽やかさ、感謝、譲り合う心、社会規範を守る心と勇気」であると常に諭され、全校生徒に対し「なぜ一歩手前で自らを省みる勇気が無かったのか」と自戒の思いを込めて語られました。また卒業式では「結婚をする時には、お母さんの気に入る嫁をもらえ。」と話され、お母さん達の笑顔で式辞を終えるのが常で、慈愛溢れる教育愛が見ることが出来ました。
日頃の学園生活の中で心を磨き育み(心の力)体を鍛え(体の力)日々にあせらずに学習の努力(頭の力)を重ね続けることこそ大切であり、努力の継続は必ず報われることをご自身の体験より語られ。将来の財産にせよと言われていたのです。この先生の思いは、久我山会が主催した「先生を偲ぶ会」の出席者に配布されました抄録新版「私学の歳月」に「語り継がれる教育論」として復刊されています。
今こそ、先生の教育原点に立ち返り、日本人の心のDNAを発露として再生元年に、同窓生が世界各地で久我山精神を発揮し再建の礎となることが使命であり、責務であると思います。
最後に久我山会の発展と会員皆様が、ご健勝で社会貢献されることを切望して学校を代表して新年のご挨拶といたします。